人間の遺伝子の情報や、活動量や脈拍などの生活・生体情報、画像診断装置で撮った医用画像。こうした大量のデータを活用し、医療やヘルスケアのあり方を変えようとする取り組みが盛んになってきた。その最新動向を紹介しよう。

 膨大な量のデータからさまざまな現象を可視化する「ビッグデータ技術」が、医療やヘルスケアの姿を大きく変え始めた。個々人の遺伝情報や、活動量や脈拍などの生活・生体情報を解析し、さまざまな病気の罹患リスクを踏まえた生活改善指導を行う。コンピューターがX線診断画像を過去の画像と照らし合わせ、最も近い症例を瞬時にはじき出して医師の診断を支援する─。こうした形で、これまでは生かされていなかったデータを活用する動きがにわかに盛んになっているのだ(図1)。 

図1 人間の身体に関わるさまざまなデータを集め、解析して新たな知見を得る。この知見を、予防医療の実現や医療サービスの改善などにつなげる。
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 ビッグデータ活用の動きは医療やヘルスケアをどのように変えていくのか。そこではどのような技術やサービスが生まれつつあるのか。以下では、その最新動向を見ていこう。