2009年に静岡県島田市に開港した「富士山静岡空港」。2014年秋、まだ初々しい飛行場に隣接して、新たな名所が加わった。滑走路のある高台の麓、空港に向かう道路を挟んで、細長い敷地に6300枚の太陽光パネルが並べられた(図1)。2014年11月20日に竣工した、出力約1.5MWの「TOKAI 富士山静岡空港太陽光発電所」だ(図2)。

図1●「富士山静岡空港」に隣接した「TOKAI 富士山静岡空港太陽光発電所」(出所:TOKAI)
[画像のクリックで拡大表示]
図2●防眩仕様の京セラ製太陽光パネル6300枚を並べた(出所:TOKAI)
[画像のクリックで拡大表示]

 発電事業者は、静岡県など中部や関東地方を基盤にLPG(液化石油ガス)販売などを展開するTOKAI。2013年11月に静岡県が募集した「県有施設等における太陽光発電事業企画提案・静岡空港事業用地(周囲部)」に参加し、優先交渉権者として選定された。事業用地は、もともと空港建設の際、自然に配慮するための緩衝地として位置づけられ、駐車場にも活用できるように平坦に造成されていたが、ほとんど利用されなかった。

 静岡県は、発電事業者を募る際、条件として、地域住民の啓蒙活動の場として利用できること、災害時は太陽光発電を非常電源として活用できることーーの2点を挙げていた。こうした県の要望を受け、TOKAIは、太陽光発電設備のほか、サイト内に2つの特徴的な施設を建設した。1つは、「エネルギー展示サークル」「発電樹」と呼ぶ、見学者のための展示施設(図3)。もう1つは、非常用電源設備や電気自動車(EV)用充電器、非常用コンセントなど、地域の防災拠点としての設備だ(図4)。

図3●サイトの入り口付近にある「エネルギー展示サークル」(奥)と「発電樹」(手前)(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
図4●カーポートはサイドに幕を付けると防災テントになる(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]