技術社会の基幹である、機械および機械システムとその関連分野に携わっている約4万名の技術者が社会に貢献するための機関、それが日本機械学会です。1897(明治30)年に創立され、120年近い歴史を持つ学会です。
本コラムでは、日本機械学会の情報誌「日本機械学会誌」に掲載されたコンテンツの中から、日経テクノロジーオンラインの読者の皆さまにぜひ知っていただきたい技術記事を抜粋して紹介します。
技術社会の基幹である、機械および機械システムとその関連分野に携わっている約4万名の技術者が社会に貢献するための機関、それが日本機械学会です。1897(明治30)年に創立され、120年近い歴史を持つ学会です。
本コラムでは、日本機械学会の情報誌「日本機械学会誌」に掲載されたコンテンツの中から、日経テクノロジーオンラインの読者の皆さまにぜひ知っていただきたい技術記事を抜粋して紹介します。
日本機械学会誌「鉄鋼材料の欠陥(介在物)による高機能化」
鋼材における介在物は、機械部品の強度特性上有害なものという考えが一般的だ。しかし、これを低減させ清浄化するにも限界があり、量産工程でこれを制御するのはほとんど不可能といえる。むしろ有害物の存在を逆手にとり、共存させながら欠陥の存在状態を制御することで新機能を付与できることもある。その一例である快削鋼…
日本機械学会誌「1DCAEの背景、考え方、課題、今後」
1D-CAEにより、設計の上流から下流までCAEで評価可能となる。製品設計にあたり、形を作る前に機能ベースで対象製品全体(もの・ひと・場)を漏れなく表現し、評価解析を可能にすることで、製品開発上流での全体適正設計を実現する。ここでいうCAEはシミュレーションだけでなく、本来のComputer-Aid…
日本機械学会誌「ASEAN 機械系学会との交流」
日本はASEAN諸国で無形の財産を残してきた。日本の大学で学んだ多くの大学教員がおり、先鞭をつけた人材育成による資産がある。これを大事に活用することが重要だ。ただ、これも富裕化に伴い各国エリート層の留学先が欧米中心となりつつあり、日本が育てたアジア指導層の人材の厚さが徐々に薄くなるのは避けられない。
日本機械学会誌「機械遺産のDNA・万能製図機械MUTOH『ドラフターMH-1』」
ドラフターは当初、製図板を水平にするものだったが、座ったまま大きな図面を作図できるよう上部にカウンターウエイトを付け製図板を立てられるよう改善した。これによって現れたのが、製図室に多くのドラフターが並ぶ懐かしい光景である。やがて、構造もベルトプーリー式に加えて、縦レールと横レールのXY駆動となるレー…
日本機械学会誌「手術ロボットの技術トレンド」
患者体内の患部を内視鏡で観察しながら行う内視鏡下手術は、従来の手術器具では大きな切開を必要とした手術と比較して、患者にとって痛みが少なく、早期の回復が期待できる低侵襲医療が提供できる。医療経済の観点からも患者が早期退院できる低侵襲治療には高い効果が得られる。このような背景の中、手術ロボットは、内視鏡…
日本機械学会誌「天気をこうかんするキカイ」
「天気をこうかんするキカイ」の趣旨は、雨が降って外で遊べない地域と、乾燥して雨が降らない地域の天気を入れ替え、共に幸せになる道具が欲しいと解釈できる。悩まされたのは、第一にどのスケールで「天気をこうかんする」か。雨降りで遊べない子供たちのいる場所はグラウンド程度で、乾燥地帯で天気をこうかんするスケー…
日本機械学会誌「『空気をきれいにする車』の技術的バックキャスト」
幼稚園児が「空気をきれいにする車」の絵を描いた。走行中の車が汚染物質を含む周囲の空気を吸い込み、後方から浄化された空気として出しているように見える。その実現についてバックキャストの手法により、目的の機能を実現する技術を技術要素に分解し、続いてそれらの対応技術に今後どのような課題解決や改善が必要とされ…
日本機械学会誌「大型低温重力波望遠鏡KAGRAの測定システム」
KAGRAは基線長3kmのレーザー干渉計型重力波望遠鏡で、スーパーカミオカンデ・ニュートリノ検出器などがある岐阜県飛騨市神岡町池ノ山の山裾地下200m以深に建設中である。約200Mパーセク(約652万光年)離れた連星中性子星の合体で生じる重力波を年間数回検出するため、周波数20Hz以上で「光の雑音」…
日本機械学会誌「メカノバイオロジーの誕生と今後の展望」
メカノバイオロジーは「生体における力の役割とその仕組みを明らかにする学問」で、ここ10年で急速に興隆した新しい融合領域である。もともと、力と生物に関連する学問は古くから存在し、聴覚、触覚、内臓感覚や筋感覚などの機械感覚は生理学の花形テーマであり、循環器学、運動生理学、マクロ解剖学、バイオメカニクスで…
~日本機械学会の研究分科会からのイノベーション~
インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)は、デジタル化社会に対応した次世代のつながる工場を、企業や業界の枠を越えて実現するための組織である。日本を代表する製造業53社が、企業の枠を越えてつながるものづくり実現のためにスタートした団体は、いまや会員200社を超え、日本の第4次産業…
日本機械学会誌「機械系女子学生の現状」
1992年(25年前)には国内機械系女子学部生は100人にも満たなかった(1.1%)が、徐々にその数は増え、2015年には3000人を超え4.5%となった。まだ1割にも満たないが、増え続ける現状に期待したい。
地上の推進コイルは固定子、車両の超電導磁石は回転子に相当
超電導リニアではニオブチタン合金で作った超電導コイルを液体ヘリウムで4K(-269℃)に冷やして使う。このコイルは、電気抵抗がゼロで電流を流しても発熱せず、断面積の小さいコイルに大電流を流せて非常に強い磁界を発生できる。所定の電流を流すと減衰せずに流れ続け、外部からの電力供給は不要で永久磁石のように…
~ 2015年度技術賞「近赤外分光法による建材中アスベストの可視化技術の開発」~
建材中のアスベストは目で見ても分からない。2013年、東急建設技術研究所は、この「アスベストが見えるカメラ」を開発した。従来は1度にわずかな面積しか調べられなかったが、約20×16cmを約4秒で調べ、画像も見られる世界初の技術だ。
クリープ強度、疲労強度に優れ鍛造性、鋳造性を兼備
耐熱材料開発の歴史は、航空エンジンのタービン動翼用材料を中心につくられたといえる。すなわち、Ni(ニッケル)基超合金にAl(アルミニウム)、Ti(チタン)を添加するとγ’相が析出して強度改善が進み、真空溶解法の適用による活性元素の多量添加で高温強度が飛躍的に向上した。
排出NOxを低減させ、多様な燃料を安定して使う
GTCCは化石燃料を使う発電方式の中で最もクリーンとされる。シェールガス実用化でその安定供給は期待できるが、産地・燃料組成の異なるLNGを調達し1つの設備で使えるようにするニーズも高い。さらに、製鉄所の副生ガスや石炭ガス化ガスなどの利用、GTCCでの水素の大規模な利用の検討も進んでおり、それぞれ低N…
計算流体力学CFDにより性能を極限まで洗練
ガスタービン高効率化へ向け、大型化とタービン入口温度TITの高温化が図られ、圧縮機の改良により燃焼器への供給空気量と圧力の増大が進んできた。圧縮機段数の増加を抑制して構造設計要求を満たし、全体流量の増加、各段の空力負荷レベルの適正化、空力安定性を確保する最適設計と実証が必須となる。(大田英輔=早稲…
高効率を目指す燃焼温度引き上げ、燃料電池との組み合わせ
三菱重工業は2004年から国家プロジェクトとして1700°C級ガスタービンの研究開発を手掛けている。第1ステップ(2004~2007年)では要素技術、第2ステップでは実用化技術に取り組んだ。2012年からの第3ステップでは高性能シール・軸受技術、先進製造技術、先進制御技術、高精度・高機能検査技術、高…
用具が変わればスキルも変わる
従来のスポーツ研究では、用具の最適設計やスキルの最適化などはほとんどが別々の試みだった。しかし、用具が変わればそれに応じてスキルも変わるべきで、用具とスキルの同時最適化が必要だ。実際の棒高跳びモデルの最適化例では、最適用具特性(ポールの曲げ剛性分布)と最適スキルが同時に導くことができ、最適化されたフ…
GPSを中核に複数センサーの融合利用へ
2012年シーズンから、公式戦で選手のGPS装置着用が認可になり、社会人や学生トップチームの試合ではウェアラブルセンサーによるデータ収集とゲーム分析が行われている。実際の試合では、GPS計測した1次データを各種スタッツに加工する。各トップチームはセンサーを利用し、さらに情報戦で優位なスタッツデータを…
肘や膝の関節に生じる負荷を動作分析で明らかに
競技選手が良い成績を継続するには、日頃の鍛錬による競技力の向上だけでなく、スポーツ障害の予防も重要である。スポーツ障害は過度な運動の繰り返し(オーバーユース)や動作の不具合によって生じる。スポーツ障害によって練習を長期間休止すると選手として重要な成長期間を失い、損失は計り知れない。また、近年の女性競…