当コラムでは、太陽光発電システムの施工から運用・保守に詳しい専門家による、動き始めたメガソーラーの実態と課題などを紹介している。今回は、第1回第2回のインタビュー記事に登場した、横浜環境デザイン(神奈川県横浜市)による寄稿によって解説する。

 今回は、雹(ひょう)によって損傷を受けた太陽光パネルの検査事例を紹介します。

 気象によって、太陽光パネルに及ぶ影響の一つが、雹の被害です。降雹は、局地的な場合が多いとは言え、その範囲は広く、太陽光発電所の全域に亘ることも考えられます。

 こうした降雹の後、雹が当たった太陽光パネルは、さまざまな損傷を受けている可能性があります。ガラスの損傷のように、目視で判別できれば良いのですが、目視だけでは把握しづらい損傷を受けていることも考えられます。

 ガラスの損傷以外に、どのような損傷を、どのパネルが受けているか、特定するには、EL検査が効果を発揮します。

 太陽光パネルの不具合が生じた箇所の検査方法として、一般的には、サーモグラフィーによる発熱部分の特定や、断線チェッカーによる断線部分やバイパスダイオードの不具合の特定があります。

 どちらの検査も、不具合が生じた箇所の特定はできますが、不具合の状況や、その原因までを特定することは困難です。

 これに対して、EL検査は、太陽光パネルメーカーの出荷前の品質検査などで実施されているものです。

 太陽光パネル内の不具合の箇所の特定に加え、不具合が生じた要因、例えば、PIDと呼ばれる高温多湿下で起きる劣化現象、内部のクラック、接触不良、ダイオードの故障などの特定に有効な手段として一般的に行われています。

 ただし、これまでのEL検査は、工場内などの屋内で実施されているもので、太陽光発電所に設置後のパネルの適用されることはありませんでした。これを、太陽光発電所の現地で実施できるようにしました。