東京大学 生産技術研究所の荻本和彦特任教授
(撮影:日経BP)

経済産業省が開催した総合資源エネルギー調査会・新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループ(WG)は2014年12月、7電力会社の太陽光発電などの接続可能量を公表した。このデータを基に指定電気事業者制度が運用され、九州電力などは無補償・無制限の出力抑制を条件として系統連系を進めることになる。系統WGの座長を務めた、東京大学 生産技術研究所 人間・社会系部門エネルギー工学連携研究センターの荻本和彦特任教授に聞いた。

――系統WGによる接続可能量の算出では、例えば、九州電力は、太陽光発電で817万kW、風力発電で100万kWの合計917万kWとなりました。九州電力が「かなり挑戦的な接続量」と主張していた700万kWに対して、200万kW以上を積み増されました。

荻本 従来の制度(1月26日のFIT運用見直しに関する政令・告知の施行前)の中で、実現可能な数値の算出を、できるだけ正確に実施した成果です。今回の算出の中で、新たに試みたのは、風力発電と太陽光発電の出力を、できるだけ現実に近づけることです。

 これまで一般的に採用されてきた接続可能量の算出は、どの日時にも、風力発電による最大出力時と、太陽光発電の最大出力時の値を適用していました。どの日時に、風力発電と太陽光発電の最大出力が重なった場合でも、電力網を安全に運用できるような算出方法と言えます。

 しかし、現実の発電のデータからは、その地域に風が強く吹いて、風力発電の発電量が増える時間帯には、日射量が少なくなり、太陽光発電の出力は最大にはならないといった傾向がわかっています。

 こうした現実の風力発電と、太陽光発電の発電量を「合成」したデータを採用しました。この算出方法の変更が、最も大きなことです。