このシリーズでは、中部電気保安協会の本店 保安部 太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかについて紹介する。同チームがまとめたトラブル事例集を基に、同チームの寄稿によって構成している。

 今回は、太陽光発電所の周囲で、温度が上昇したことによって、直流ブレーカーが電流を遮断(トリップ)した事例を紹介します。

 ブレーカーには、安全に使用できる電流の限度値、定格電流が定められています。もし、定格電流より大きな電流(過電流)が流れ続けた場合、ブレーカーが電流を遮断します。

 ところが、使用する環境によっては、流れている電流が定格電流以下であっても、トリップすることがあります。

 夏の暑い日のことでした。出力約1MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)のオーナーから、「発電量が低下したので、状況を確認してほしい」との連絡がありました。

 原因として、まず疑ったのは、温度上昇によるパワーコンディショナー(PCS)の稼働停止でした。

 早速、PCSの稼働を確認したところ、運転はしていました。ただし、出力や直流の入力電力が、日射量から想定される数値に対して、少なくなっていました。