登場から20年以上が経ち、Liイオン2次電池は、携帯機器での利用だけでなく、電気自動車や家庭用蓄電池など、様々な機器での活用が進められています。今後も幅広い機器への応用が進んでいくことで、技術者にとってLiイオン電池に関する知識は必要不可欠になっていくことでしょう。本連載ではLiイオン電池の生みの親ともいえる元ソニーの西美緒氏が、日経エレクトロニクスに寄稿した記事を再掲します。Liイオン2次電池がどのような経緯で開発され、どのように進化していったのか、ぜひご覧ください。

西 美緒(にし よしお)
元ソニー 業務執行役員上席常務

1966年、慶應義塾大学 工学部応用化学科卒業。同年、ソニー入社、中央研究所にて燃料電池を研究開発。1986年からLiイオン二次電池の研究開発に従事。バッテリー事業本部、ソニー・エナジーテックでLiイオン二次電池の開発、製造立ち上げなどを行い、世界で初めて商品化。Liイオン・ポリマー二次電池も商品化。ソニー・エナジーテック専務取締役。1997年にソニー執行役員常務/コーポレート・リサーチ・フェロー、2003年に業務執行役員上席常務に就任。その間、西研究所所長、マテリアル研究所長、CTO(マテリアル担当)などを歴任。2005年6月、ソニー顧問。2006年、同社退社。社友、現在に至る。これまでに、電気化学会 副会長、日本金属学会 評議員、電気化学会・電池技術委員会 副委員長などを務める。

Liイオン二次電池の実用化で、電気化学協会 技術賞、米Electrochemical SocietyのTechnical Award、加藤記念賞、市村賞、バクテリア・セルロースの実用化で日本農芸化学会 技術賞を受賞。2014年にCharles Stark Draper Prizeを受賞。著書に、『スピーカーと新素材(冬樹社)』、『キーテクロジー電池(共著、丸善)』、『リチウムイオン二次電池の話(裳華房)』、『導電性ポリマー技術の最新動向(共著・東レリサーチセンター)』がある。