北九州スマートコミュニティ創造事業では、エネルギー消費量の大きい工場と連携することによって地域のエネルギー需給を最適化することも重要なテーマである。CEMS(地域エネルギー・マネジメント・システム)とFEMS(工場エネルギー・マネジメント・システム)が連携し、ものづくりの根幹をなす生産計画まで踏み込んだピークカットの実証成果が出始めている。また、特定供給制度によって運用している地域グリッドに直接つなげたコミュニティ設置型蓄電池の実証も進んでおり、他のエネルギー機器と組み合わせることで、より低コストで高い効果を発揮することが分かりつつある。

 トヨタ自動車は、豊田合成の北九州工場を舞台にCEMS(地域エネルギー・マネジメント・システム)と連携したFEMS(工場エネルギー・マネジメント・システム)の実証実験に取り組んでいる(関連記事『ものづくりの現場をFEMSでスマートに』)。2013年度は特に、生産計画調整で実現するピークカット・シフトによる地域のエネルギー利用の最適化への効果検証に取り組んだ。

生産計画の調整により200kWのピークカット

 なかでもCEMSから発信されたダイナミックプライシングに応じて、実際の生産計画をどこまで調整できるかをシミュレーションにより検討した。工程の中でも変動しやすい射出成型工程に注目し、1時間で200kW程度ピークカットできることが分かった。これは、生産工程自体をずらすことのほか、電力需要のピークタイムに大型の射出成型機の工程を小型射出成型機の工程に変えるなど、細かい工夫を重ねた結果だという。

 さらに省エネの取り組みとして、豊田合成が開発する高天井用高効率LED照明システムを導入した。工場内の明るさに応じて照度を調整することで、従来のメタルハライド照明に対して66%の省エネを実現した(写真1)。

【写真1】豊田合成北九州工場に導入された高天井用高効率LED照明システム
従来のメタルハライド照明に対して66%の省エネを実現。(出所:豊田合成)