豊田市が進める低炭素社会システム実証プロジェクト「Smart Melit(Smart Mobility & Energy Life in Toyota City)」では、KDDIがスマートグリッドの普及を見据え、その重要なインフラの一つである通信ネットワーク技術に関する総務省の実証を並行して進めている。市内の48施設を対象に、電力量など膨大なデータを低コストかつ確実に流通させるために、ネットワーク回線を二重化したり、データを集約したり、圧縮したりする技術を検証している。

 豊田市の中心部から国道153号線を車で北上すると、およそ30分で豊田市生涯学習センター石野交流館に到着する。山林に囲まれた交流館は、生涯教育の講座を開催するなど地域住民の活動拠点であるとともに、市役所の出張所も兼ねている(写真1)。

 その石野交流館の事務室の一角に、2014年1月から高さ約50cm、横幅約40cmの白い箱が床に置かれている。コンセントには真新しい電力タップが装着され、窓際の書類キャビネットの上には短いアンテナが付いた複数の機器が置かれている。

 実は、Smart Melitと並行して豊田市を舞台に、総務省の「スマートグリッドの通信ネットワーク技術高度化実証事業」が進められている。同市内のこども園(保育所)や交流館、東山町にあるSmart Melitの実証住宅、見学施設であるとよたエコフルタウンなど48施設を対象にした。これらの施設は、オフィスや商業施設が集まる中心部、トヨタ自動車の工場周辺、山間部の3地域から選んだ。石野交流館は山間部にある対象施設の一つである。

 なお、本実証では以下の2つの開発技術を組み合わせている。
・リンクアグリゲーションシステム(KDDI、KDDI研究所)
・時空間センシングデータの集約圧縮方式(KDDI、大阪大学 大学院情報科学研究科、KDDI 研究所)