北九州スマートコミュニティ創造事業では、八幡東区東田地区のマンションなどを舞台に、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)による家電の自動制御や、家電への直流給電によって無理せずに家庭の節電を実現する実証を実施している。同時に、街全体におけるCO2排出量や、エネルギー損失とインフラコストを最小限に抑えられるかを算出するシミュレーションの精度向上に向けた取り組みが進む。

 北九州スマートコミュニティ創造事業では、八幡東区東田地区のマンションにHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を導入している。CEMS(地域エネルギー・マネジメント・システム)と連携し、電力料金を変化させることで節電行動をうながすダイナミックプライシングに応じてエアコンなどの家電や蓄電池を制御する実証を進めている(関連記事『HEMS活用し太陽光の大量導入に伴う課題の解決へ』)。

ダイナミックプライシングに応じて家電を制御

 積水化学工業はマンション4戸にCEMSと連携するHEMSを導入している。HEMS分電盤やコンセントから電力データを収集するだけではなく、各部屋に取り付けられた照度センサー、温湿度センサー、人感センサーによって室内の温度や湿度、明るさ、人の在室/不在といった生活環境や行動の情報を集める。照度センサーと温湿度センサーは屋外にも設置している。

 これらをもとに、HEMSは各室ごとの使用電力などの情報をタブレット端末に表示する。節電行動も提案する。例えば、室内の温度が外気温と同じなら、エアコンの停止を呼びかける。CEMSからダイナミックプライシングで電力単価が上がるという情報を受け取ると、HEMSがエアコンや家電を制御する。具体的には不在の部屋のエアコンは電源オフにし、在室の場合は夏なら温度設定を1℃上げ、冬なら1℃下げる。洗濯機、テレビ、電子レンジは使用中でなければ電源オフにし、使用中の場合は使用後に電源が入らないようにする。エアコンは専用リモコン、家電はコンセントコントローラーを介してそれぞれ制御する。