着用するだけで、心拍などの生体情報や、動きや姿勢などの運動情報を計測できる――。そんなウエア型デバイスへの応用を狙った、機能性の繊維素材の提案が相次ぎ始めた。導電性や耐久性に優れる“賢い繊維”が、ヘルスケアのあり方を大きく変えようとしている。

 先鞭を付けたのが、東レとNTT、NTTドコモの3社が2014年1月に発表した「hitoe」だ(関連記事1)。ポリエチレンテレフタレート(PET)製ファイバーをベースに、ファイバー間のすき間に導電性高分子を含浸させた素材である。スポーツウエアなどの裏側に電極として貼り付けることで、心電波形や心拍数を測定できる。電極として使うための導電性に加え、肌への密着性や洗濯への耐久性を高める工夫を盛り込んだ。

C3fit IN-pulseの装着イメージ
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 スポーツウエア大手のゴールドウインは、2014年12月に発売したウエア型デバイス「C3fit IN-pulse(スリーフィット インパルス)」シリーズにhitoeを採用した(関連記事2)。C3fit IN-pulseは専用トランスミッターを使ってスマートフォンと連携させることができ、計測した心電波形や心拍数を専用アプリ上でトレーニングなどに活用できる。NTTドコモは、ゆくゆくはhitoeを医療や介護の分野にも展開したい考えである。