会場の都市センターホテル(東京都千代田区)
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 心疾患や脳血管疾患の最大のリスク要因とされる、動脈硬化。その進行度はしばしば「血管年齢」に例えられる。動脈硬化をいち早くとらえ、心疾患や脳血管疾患の発症を予測したり、生活習慣を改善して発症を予防したりする上では、どのような検査手法が有効なのか――。

 「第49回 日本成人病(生活習慣病)学会学術集会」(2015年1月10~11日、都市センターホテル)では、東邦大学医療センター佐倉病院 臨床生理機能検査部 部長の東丸貴信氏が登壇。「血管機能と超音波検査で高血圧症を診る」と題し、動脈硬化の検査手法のトレンドを語った。

 まず、動脈硬化を簡便に可視化できる手法として同氏が挙げたのが、頸動脈の超音波検査(頸動脈エコー)である。頸部の超音波画像から、血管壁(内中膜複合体)の厚さ(IMT:intima-media thickness)や、血管内プラーク(隆起部)の進展度(プラークスコア)を調べる。これらの指標は「心臓・脳血管系イベントの予測に有用」(東丸氏)という。IMTが肥厚したり、プラークスコアが高くなったりするほど、リスクが高まるわけだ。

 動脈硬化のスクリーニングに使われるもう一つの指標が、ABI(ankle brachial index:足関節上腕血圧比)やPWV(pulse wave velocity:脈波伝搬速度)と呼ばれるものだ。いずれも、両腕と両足首に血圧測定用カフ、手首に心電図電極などを取り付けることで検査できる。

 ABIは足首の収縮期血圧を上腕の収縮期血圧で割った値で、下肢で起こりやすい動脈の閉塞や狭窄を調べられる。PWVは文字通り脈波の伝搬速度で、値が高いほど血管が硬くなっていることが分かる。