出典:『稼ぐビッグデータ・IoT技術 徹底解説』の第2章 先進事例(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 生産システムの進展はITによるところが大きい。例えば、全世界に広がるサプライチェーンにある工場の状態をリアルタイムに把握してサイバー空間に数理モデルを生成し、そのモデルを用いて、市場要求、製品性能、生産コスト、運用状況など複数の条件を最適化する生産システムが各国で検討されている。生産システムの高効率化・納期順守・高品質化・変化への追従を実現するために、ビッグデータとIoTを活用する事例を紹介する。

 生産システムの目的は、地球環境と持続的な共生関係を維持しつつ価値最大化を図り、魅力的な製品を高品質で安く迅速に社会に供給することである。この生産システムの進展は、ITによるところが大きい。例えば、全世界に広がるサプライチェーンにある工場の状態をリアルタイムに把握してサイバー空間に数理モデルを生成し、そのモデルを用いて、市場要求、製品性能、生産コスト、運用状況など複数の条件を最適化する生産システムが各国で検討されている(図1)。

図1 サイバーモデル層に数理モデルを構築
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 本稿ではこの生産システムを構成する主要な技術の中から、日立におけるビッグデータ処理に関する事例として、(1)大規模で複雑な物流ネットワークを最適設計するためのサプライチェーン設計技術、(2)装置の故障やモノづくり品質不良が将来の製品出荷にどう影響するかを予測して先手対策を講じる工場管理技術、(3)前工程のモノづくり品質変動を後工程で調整して工程全体として品質を確保する工程間プロセス制御技術、(4)複雑な化学的・機械的挙動を計算機であらかじめ調整して高品質・高効率の加工を実現する樹脂成形加工技術、を紹介する。