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HOME新産業IoT稼ぐビッグデータ・IoT技術-先進事例 > 物流の最適化の鍵をにぎる倉庫、マルチピッキングの優位性がデータで明らかに

稼ぐビッグデータ・IoT技術-先進事例

物流の最適化の鍵をにぎる倉庫、マルチピッキングの優位性がデータで明らかに

物流分野における ロジスティックビッグデータ活用

  • 渡邊 高志、木村 淳一、守屋 俊夫=日立製作所
  • 2015/01/29 00:00
  • 1/5ページ
出典:『稼ぐビッグデータ・IoT技術 徹底解説』の第2章 先進事例(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
 

 必要とされるモノを、指示されるタイミングで需要者の手元に届けること―これが、物流に期待される基本的な機能である。この機能を顧客の要望に沿うように提供するために、物流倉庫は極めて重要な役割を担う。物流倉庫では、日々の運用に伴って大量のデータを記録する。より良いサービスの提供、コスト低減のために、これらのデータから生産性を評価し、工程の見直しや作業進捗の管理を行っている。本稿では、物流事業における倉庫の位置付け、データに基づく倉庫作業分析と生産性改善について概説する。

1 物流倉庫の役割と3PL

 冒頭に述べたように、必要とされるモノを、指示されるタイミングで需要者の手元に届けるという物流の基本的な機能を顧客の要望に沿うように提供するため、物流倉庫は
極めて重要な2つの役割を担う。

 一つは、バッファーとしての役割である。例えば製造分野での物流では、需要者の注文後、できるだけ短時間のうちに製品を届けることが望まれる。一般に製品の製造には所定の時間(製造リードタイム)がかかるため、製造者は
見込み生産を行いすぐに出荷できるように待機させておく。

 バッファーとしての倉庫を考えたときに、そのパフォーマンスを決めるのがモノの出し入れ作業である。入庫されるモノを適切に配置し、要求がきたときには行き先ごとに仕分けし梱包し発送する。そこでは大量のモノをさばくだけではなく、ネット通販に代表されるような多品種少量のモノも効率的に扱う必要がある。また、荷主の事業環境の変化に合わせて扱う品目や分量も目まぐるしく変化するた
め、それに迅速に対応できる柔軟性も要求される。これらを、安定した品質で、安く、早く実施できるように、設備やシステムの設計や運用、作業員の作業計画や管理などを
適切に行う必要がある。

 もう一つは、物流全体の司令塔としての役割である。供給者と需要者を結ぶ業務プロセス全体を適切に管理し経営効率を高めることをサプライチェーンマネジメントというが、このサプライチェーンマネジメントに対し、物流倉庫はその設計から運用に至るさまざまなフェーズで大きな影響力を持つ。

 配送リードタイムや保管・配送コスト、作業者確保などの観点で、倉庫をどこにどう構築するか、輸送手段としてトラックや航空機、船舶などさまざまなモーダルをどう適切に選択し制御するか、倉庫の川上となる生産や輸入元からの供給調整および川下となる販売や消費者に向けた出荷の調整をいかに行うかなど、サプライチェーン全体を見据えモノの流れを適切に制御する仕組みが要求される。

 以上述べた物流倉庫の2つの役割とそれぞれに付随する課題に対し、今までは人の経験と勘を中心に対策が講じられてきたが、今後期待されるのがビックデータの利活用による定量的な根拠に基づく対策の高度化である。倉庫業務には、入出庫データや各種指示書、商品情報など数多くのデータが存在し蓄積されている。さらに、作業員の行動やモノの物理的状況などを新たに計測しデータ化することもできる。本稿ではこれらのデータを各業務プロセスに対応付けながら整理し、各課題解決に向けた活用方法と効果について述べる。

 なお、従来の物流業務は、荷主(顧客)と複数の物流業者が分担して進めていくことが一般的であったが、近年はこれをアウトソースとし、一括して請け負うサードパーティーロジスティクス(3PL)が拡大している(図1)。3PLにおいて物流倉庫は欠かせない要素であり、この3PLの業務を考えることが物流業務全体を考えることとほぼ等価となることから、本稿で挙げる具体例は3PLでの業務を想定し述べることとする。

図1 メーカーのサプライチェーンとサードパーティーロジスティクス事業者の位置付け
(図:参考文献10)を基に筆者らが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

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