太陽光発電協会(JPEA)の鈴木伸一事務局長(出所:日経BP)

電力会社による接続申し込みへの回答保留を受け、経産省は系統ワーキンググループ(WG)を設置して接続可能量を決めた。それを超える見込みの電力会社を指定電気事業者とし、「無補償で無制限の出力抑制」の条件の下で、接続を受け入れるという対応で、保留が解除されることになった。同WGのオブザーバーでもある太陽光発電協会(JPEA)の鈴木伸一事務局長に、今回の対応の評価と太陽光発電事業の今後について聞いた。

――再エネの接続保留は、7電力会社を「指定電気事業者」に指定することで、無補償の出力抑制を無制限で認めることを前提に保留が解除されます。無制限に出力抑制されては事業性が成り立たないため、これで再エネの新規開発は難しくなったとの報道も目立ちます。

鈴木 「指定電気事業者制度」によって、無補償で無制限の出力抑制を条件に接続するという仕組みは、接続保留で止まってしまった再エネ普及を、何とか再び前に進めるための対応と理解しています。発電事業者が「無制限の出力抑制」という条件を認めさえすれば、電力会社は、もはや接続申し込みに対して「保留」はもとより、「拒否」できなくなります。同制度の目的は「無制限の出力抑制」ではなく、実質的な接続受け入れを最大化するための戦略的な手段とも言えます。

――保留解除を実現する苦肉の策にも見えますが、ほかに現状を打開する方策はなかったのでしょうか。

鈴木 送電系統に接続しさえすればよい、というわけではありませんが、とりあえず、保留を解除して、接続協議を再開させるには、ほかに有効な手立ては思い当たらないのも確かです。反省すべきなのは、本来、太陽光発電の普及とそれをつなぐ電力系統の対応は、並行して進めなくてはならなかったのに、あまりに早く太陽光発電の開発が進んだために、系統側の対応が後手に回ったことです。いわば片肺飛行のまま突き進んでしまったツケが、今回の混乱の背景です。指定電気事業者制度の適用は、こうした状況の中ではやむを得ない気もします。