奈良県健康福祉部健康づくり推進課 課長の谷垣孝彦氏
奈良県健康福祉部健康づくり推進課 課長の谷垣孝彦氏
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 厚生労働省によるデータヘルス計画の実施が目前に迫る中、「『健康寿命を延伸する健康づくり事業モデルの紹介』――成功事例から学ぶ 健康日本21とデータヘルス計画――」と題するセミナーが2014年12月19日に開催された。

 今回のセミナーは、青柳幸利氏(東京都健康長寿医療センター研究所)による「中之条研究」を軸にしたもの。中之条研究は、青柳氏が群馬県中之条町で10数年に渡り実施した健康実践研究。65歳以上の全住民である5000人を対象に、常時携帯した活動量計のデータを活用。「歩数」と「速歩きの時間(中強度の活動時間)」による健康づくりの明確な数値を提示した研究として知られる。

 この研究を踏まえ、同セミナーではまず、奈良県健康福祉部健康づくり推進課 課長の谷垣孝彦氏が、「奈良県健康ステーションの取り組み――健康寿命日本一を目指して――」とのテーマで講演した。

中之条研究を取り入れ健康づくり実施

 奈良県における“健康寿命日本一”の命題は、2013年7月に策定した「なら健康長寿基本計画」で定められたもの。期間は策定時から2022年までの10年間を目標とする。2013年度の数値で奈良県の現状を見ると、男性の健康寿命は全国13位、女性の健康寿命は全国41位。「何をすれば健康寿命が伸びるのか、最新の研究を進める中で出会ったのが中之条研究だった」(谷垣氏)。

 青柳氏が導き出した理想的な数値は「8000歩/20分」。すなわち1日平均8000歩、そのうち、うっすらと汗ばむような中強度の活動時間が20分含まれている状態が、健康維持と病気・病態予防には効果的であるとするものだ。

 奈良県ではこの理論を取り入れて健康づくりを実施。「歩いて健康になる健康法を県内で普及させる」という県の思惑とも合致した。そして、県内2カ所に設けた「奈良県健康ステーション」を県民との窓口にした。