1GHz以下の帯域を使う「サブGHz帯」の無線通信システムの市場がにわかに盛り上がっている。サブGHz帯とは日本の920MHz帯、米国の915MHz帯、欧州の863MHz帯などを指す。2014年はスマートメーターや社会インフラ維持管理、農業といったさまざまな分野でサブGHz帯無線を活用する機運が高まった。

 800M~900MHzの周辺帯域を使用するサブGHz帯の無線通信は、従来から使えた315MHz帯や429MHz帯と比べて通信速度や電波の到達性、消費電力のバランスに優れ、IoT(Internet of Things)の用途に適していると言われている。伝送速度は数十k~数百kビット/秒程度と無線LANやBluetoothなどで使う2.4GHz帯よりも遅いが、通信距離や回り込み特性の面で優れている。見通し距離で1km前後、見通し外でも数十mでの通信が可能だ。電波の到達距離が長いので同じ距離を通信する場合には2.4GHz帯よりも送信出力を下げることができ、消費電力が低い。乾電池で数年間稼働する無線システムを構築できる。

 サブGHz帯のこうした特性を生かし、日本ではスマートメーターへの大量導入が見込まれている。2015年から東京電力の3000万台近いスマートメーターに920MHz帯の無線通信機能が実装される。東京電力のスマートメーターの仕様には、家庭内の「HAN(home area network)コントローラー」に対して対して30分間隔で電力使用量を送信する機能が盛り込まれている。HANコントローラーとは家庭内のHMES対応機器を制御する、いわゆるHEMSコントローラーだ。「Bルート」と呼ばれるこの通信路に、920MHz帯の無線通信を使用することが2013年10月に決定した。

東京電力のスマートメーター
東京電力のスマートメーター
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