肥後銀行のABL(動産担保融資)で資金調達

 プレゼンでは、ほとんどの事業者が売電の収益性などの説明に終始する中、テイクエナジーコーポレーションだけが、「売電事業で儲けることが最終的な目的ではなく、いかに地域を活性化して若者が帰ってくるかという視点を強調していた」と、荒木組合長は振り返る。「当初は、収益を生まず管理の手間だけがかかる土地から、少しでも賃貸料が得られれば……という発想だったが、テイクエナジーの提案によって、集落が自分たちの力で元気になっていくグランドデザインができた」(荒木組合長)という。

 テイクエナジーコーポレーションは、建設費である5.5億円を肥後銀行と熊本県信用保証協会から融資を受けた。ABL(動産担保融資)の手法を活用することで、ベンチャー企業でも資金調達が可能になった。山間の急斜面に土地なりに太陽光パネルを設置するという前例の少ない設置工事は、川惣電機工業(大阪市)にEPC(設計・調達・施工)サービスを委託し、2013年9月に着工し、翌年5月に完成した(図10、図11)。

図10●杭基礎にジョイントを使って高さを調節した(出所:日経BP)
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図11●最高部の急斜面に設置したパネル(出所:日経BP)
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 「水増ソーラーパーク」は、農水省が提唱する「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電」を具現化する先行事例として、紹介されている。とはいえ、観光農園や棚田のブランド化などの試みは始まったばかり。竹元会長が言うように「先は長く、一歩一歩積み重ねていくしかない」のも確かだ。20年以上続いている「ゼロ子化」が解消できるかどうか、メガソーラーによる地域活性化を模索する全国の自治体が注目している。