進展著しいSiCやGaNといった次世代のパワー半導体。2014年はSiCのパワー半導体素子(パワー素子)の適用範囲がグンと広がり、GaNパワー素子は実用化が始まった。

 SiCでは、自動車業界が車体を動かす駆動システムにまで、SiCパワー素子を採用する動きが出てきたことが、2014年の大きなトピックだった。

 例えばホンダは、燃料電池のセルスタックの出力電圧を昇圧する部分に、SiCパワー素子を適用した燃料電池車のコンセプトモデルを発表した(関連記事1)。

 業界最大手のトヨタ自動車もSiCの採用に向けて布石を打つ。同社は2014年5月、SiCパワー素子を使った試作車で公道実験を2015年5月までに始める計画を明らかにした(関連記事2)。「2020年までにSiC適用車両を量産したい」(トヨタ)と意気込む。

トヨタ自動車がデンソーと豊田中央研究所と共同で開発したパワー半導体
左がMOSFET、右がダイオード
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 電装品メーカーもSiC採用の車載部品の開発に力を入れる。例えばデンソーは、CEATEC JAPAN 2014にSiCパワー素子やインバーターモジュールなどを展示(関連記事3)。口径150mm(6インチ)のSiC基板を用いて作製したSiC MOSFETのサンプル出荷を開始し、2015年内に量産を始める。

 SiCパワー素子を利用した駆動回路を一体化した車載モーターの開発も進む。例えば明電舎や日本電産がそれぞれ開発中(関連記事4関連記事5)。いずれも2020年ごろの自動車搭載を目標にしている。

日本電産が開発中のモーター駆動システム
提供:日本電産
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