安倍政権が農業を成長産業の1つと位置付けていることもあって、異分野から農業に熱い視線が注がれている。2014年は、ものづくり企業が自社の保有技術を生かして植物工場などの農業事業へ参入するケースが相次いだ。

 例えば、東芝。遊休設備となっていた同社のフロッピーディスク工場を再利用して完全人工光型の植物工場を建設し、今秋から稼働を始めた(図1)。これまで、製造業が手掛ける植物工場事業といえば、植物工場というハードウエアの提供が中心だったが、東芝の場合は大手電機メーカーが自ら生産者となって野菜販売に乗り出すとあって注目を集めた(関連記事)。実際、同社はケンコーマヨネーズとサラダ事業で業務提携する事を表明したり(関連記事)、野菜製品のブランディングにデザインシンキングを活用したり(関連記事)と本腰をいれている。さらに、同社は、ライフサイエンス事業の一環として食糧生産に力をいれていく方針を打ち出しており、植物工場での野菜の生産・販売はもちろん、植物工場システムの提供、さらには畜産や水産事業までを視野に入れている。

図1 東芝の植物工場の栽培棚。葉物野菜8400株/日の生産を目指す。
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