東芝と米SanDisk社が2014年9月9日に開催した、東芝 四日市工場の第5製造棟 第2期分の竣工式の様子。同日、東芝は四日市工場内に3次元NAND向けの製造棟(新・第2製造棟)を着工した。
東芝と米SanDisk社が2014年9月9日に開催した、東芝 四日市工場の第5製造棟 第2期分の竣工式の様子。同日、東芝は四日市工場内に3次元NAND向けの製造棟(新・第2製造棟)を着工した。
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 さまざまな半導体デバイスの中で、微細化が先行して進んでいるのがNANDフラッシュメモリーやDRAMに代表されるメモリーである。ここ数年はメモリーの微細化限界が指摘され、NANDやDRAMに代わる新しいメモリーの開発が精力的に進められてきた。

 NANDでは、市場シェア首位の韓国Samsung Electronics社が2013年に3次元NANDの量産を開始(関連記事1)。3次元NANDは、多段積層したメモリーセル(記憶素子)を一括プロセスで形成するという方法で、微細化に頼らずに大容量化と低コスト化を実現する技術である。

 他社もSamsung社に続く動きを見せている。東芝は2014年9月に、3次元NAND向けの新製造棟を四日市工場内に着工した(関連記事2)。韓国SK Hynix社や米Micron Technology社も3次元NANDの量産準備を進めている。NANDの3次元化という大きな流れは、既定路線となった。

 一方、3次元NANDはコスト競争力にはまだ劣るというのが実情だ。そのため、平面(プレーナー)構造のNANDをすぐに置き換える状況にはない。3次元NANDではメモリーセルを多段積層して単位チップ面積当たりのビット密度を高めるが、メモリーセルの材料となる膜を多段積層したり、積層した膜に貫通穴を開けるプロセスに大きなコストがかかる。製造装置のスループットなどの制約からこのコストがまだ十分に下がっていないため、3次元NANDを安く製造できる段階にはないというわけだ。