渡邉 和伸氏
日本アジアグループ 取締役経営企画部、財務部、財務開発部、コーポレートコミュニケーション部管掌(出所:日経BP)

日本アジアグループは、固定買取制度(FIT)開始前、2009年にいち早く太陽光発電による売電事業に乗り出した。当時の日本では、太陽光発電に取り組む企業は、その目的としてCSR(企業の社会的責任)を強調し、自社の建物の上や敷地の中に自家消費型の太陽光発電システムを設置する中、日本と欧州でほぼ同時にメガソーラー(大規模太陽光発電所)による発電事業を手がけ始めた。同社グループで太陽光発電事業を本社からサポートしてきた、渡邉和伸取締役に現状や今後の展望を聞いた。

――日本アジアグループは、国内で最初に、売電を意識して太陽光発電に取り組み始めた企業の一つです。その経緯や現状から教えてください。

渡邉 グループ全体では、2014年11月13日時点で、発電事業で稼働済みの太陽光発電所が合計出力34.5MW、経済産業省の設備認定と電力会社の連系承諾済みで未完成の発電所が同113.5MWまで拡大してきました(図1)。交渉中の発電所が同392.9MWありますが、この中には、連系申し込みへの回答を保留している北海道電力、東北電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の管内の162.0MWを含んでいます。

図1●本社のエントランスに設置したメガソーラーの稼働状況を示す画面(出所:日経BP)
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 このほか、開発や運営などを受託した太陽光発電所があります。グループ内の企業が開発やEPC(設計・調達・施工)サービス、O&M(運用・保守)などを受託したもので、稼働済みが同52.2MW、経済産業省の設備認定と電力会社の連系承諾済みで未完成の発電所が同55.6MWとなっています。こちらも、交渉中の発電所が同11.2MWありますが、この中には、接続保留の電力会社5社の管内の0.7MWを含んでいます。

 日本アジアグループにおける太陽光発電は、新規事業の一環として、ドイツで始めました。当初の構想は、先行していた固定価格買取制度(FIT)に基づく売電事業の経験を欧州で積み、その後、日本でFITが導入されると予想し、日本でもFITの導入後に始めようというものでした。