本記事は、日経WinPC2010年12月号に掲載した連載「CPU今昔物語」を再掲したものです。社名や肩書などは掲載時のものです。
Motorolaの「MC6809」
外部にアドレスバス16ビット、データバス8ビットを直接出力できる。汎用の8ビットCPUとしては比較的遅く登場した。後発である分、性能は高く機能は豊富で「究極の8ビットCPU」といわれた。しかし、同時期にIntelの「8086」やMotorolaの「MC68000」が発表されるなど、16ビットCPUへの移行期に登場したCPUとなってしまった。写真はCPU-World(http://www.cpu-world.com/)の提供。
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 富士通が「FM-8」に搭載したことで、国内で一躍注目を浴びたMotorolaの「MC6809」。その高性能と多機能ぶりから、「究極の8ビットCPU」とさえ称されたが、ほかに採用したメーカーは米国のRadio Shackや日立製作所くらいしか見あたらなかった。ホビー向けの8ビットPCはその後も各メーカーが発売したが、大半はZ-80を搭載していた。もともと68系のCPUを搭載したPCが少なかったことに加え、ビジネス向けには16ビットCPUがすぐに登場してきたことがその主因だろう。MC6809が爆発的に普及するには、既にタイミングを逃していたのだ。