ノーベル物理学賞の受賞記念講演を行う中村修二氏
ノーベル物理学賞の受賞記念講演を行う中村修二氏
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 2014年12月8日にスウェーデンのストックホルム大学で行われた、ノーベル物理学賞の記念講演で3人の受賞者のうち、最後に登場した中村修二氏。同氏は青色LEDに関する研究課程を振り返りつつ、高輝度化に不可欠だったInGaNの重要性を強調した。加えて、現在力を入れて研究を進めているレーザーを使った照明について紹介した。

 講演では、「GaNによる青色LEDでは新参者」(中村氏)だったが、赤崎氏と天野氏の研究グループが先行して出した各種データに追い付き、追い越していったことをアピール。その原動力になったのが、「ツーフローMOCVD」だった。

InGaNが不可欠

 このツーフローMOCVD装置を使い、InGaNによるダブルへテロ構造を実現して、青色LEDの高輝度化を達成。それが実用化につながった。

 それ以前には、GaN結晶内にある転位と呼ばれる結晶欠陥を103個/cm2台まで減らさないと明るく光らないとされていたが、InGaNを使えば、109個/cm2台と多くても高輝度に光る。このInGaNの特性こそが、青色LEDや、その後の青紫色半導体レーザーの実現につながった。

 「なぜInGaNが、結晶欠陥が多くても光るのか」というメカニズムについては、「Inの局在効果が関連している」と、東北大学 教授の秩父重英氏の研究成果を引き合いに出した。