好きなデザインの3次元構造体を手軽で安価に作れる3Dプリンターが、医療現場に本格的に浸透し始めた。医療機器の構成部品から、ステントなどの治療器具、外科手術のシミュレーションや教育に使う臓器モデル、体内に埋め込んで使う医療機器まで、その用途は幅広い。

会場の1つ、ビッグパレットふくしま
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 再生医療に使えるような、生体由来の細胞や組織をベースとする人工臓器を3Dプリンターで作製する。そんな試みも始まった。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2014年11月、バイオ3Dプリンティングや細胞シートの積層技術などの立体造形技術を用いて、iPS細胞などから立体組織・臓器を製造する技術開発プロジェクトを開始すると発表した(関連記事1)。近い将来、3Dプリンターで“手軽に臓器を再生できる時代”は訪れるのか――。

 2014年11月20~22日に福島県郡山市で開催された「第76回 日本臨床外科学会総会」(会場:郡山市民文化センター、ビッグパレットふくしま、ホテルハマツ)では、「3Dプリンターが変える未来の医療」と題するシンポジウムが開かれた。3Dプリンターを活用した組織・臓器の再生をテーマに、4人の登壇者が最新の研究成果を紹介した。