パシフィコ横浜で開催
パシフィコ横浜で開催
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 弘前大学大学院 医学研究科 脳神経内科学 教授の東海林幹夫氏は、「第33回 日本認知症学会学術集会」(2014年11月29日~12月1日、パシフィコ横浜)の学術教育講演に登壇。「アルツハイマー病予防の可能性 ─ 大規模介入研究の現在」と題し、ここにきて米国を中心に始まった、アルツハイマー病の予防法確立に向けた大規模介入研究の動向を紹介した。

 アルツハイマー病は、認知症のうち最も罹患率の高い疾患である。最近では原因物質をPETなどの画像診断装置で早期にとらえようとする研究が盛ん。「アミロイドβ」や「タウ」と呼ばれるたんぱく質が脳内に蓄積する現象との関わりが明らかにされてきた(関連記事1)。特に、ここ10年ほどの研究でアミロイドβの蓄積とアルツハイマー病の病態の相関はかなり明確になってきた。

 ここにきて始まろうとしているのは、アミロイドβなど、アルツハイマー病の病態を反映する因子(バイオマーカー)の知見に基づく大規模介入研究だ。「アミロイドβ仮説(原因説)に基づく病態修飾薬開発の初めての検証」(東海林氏)と位置付けられる。有力とされるアミロイドβ仮説に基づく研究という意味で「アルツハイマー病予防に向けた“最後の聖戦”になる。ここで芳しい結果が得られなければ、予防法確立は当面、先になるだろう」(東海林氏)。

 東海林氏は米国を中心にこれから始まる(一部は実施済み)大規模介入研究を4つ紹介した。その多くは、アミロイドβの画像化などの追跡調査とともに、アルツハイマー治療薬(抗アミロイドβ抗体)「Solanezumab」などの継続投与の効果を検証するものである。