システム技術研究所の槌屋治紀所長

九州電力は9月末、再生可能エネルギーの接続申し込みが1260万kWに達し、軽負荷期には電力の供給が需要を上回る蓋然性が高いとして、回答の保留に踏み切った。この問題を受け、経済産業省は、系統ワーキンググループ(WG)を設置して、九州電力管内などの接続可能量(接続上限)を検証する作業に入った。システム技術研究所(東京都中央区)は、環境NGO(非政府組織)のWWFジャパンからの依頼で、系統WGに先駆けて、九州電力管内に1260万kWの太陽光発電設備が接続された場合の影響についてシミュレーションした。その結果とともに、再エネ大量導入時代におけるビジネスについて聞いた。

――まず、シミュレーションの結果では、九電管内における再エネの接続申し込み量1260万kWをすべて接続した場合、電力の需給バランスを一致させるためには、出力を抑制する日数はどのくらいになるのでしょうか。

槌屋 今回のシミュレーションでは、前提条件として原子力発電所の稼働の有無、中国電力との地域間連系線の利用の有無を分けて、計算しました。「原発あり」の前提は川内原発2基(178万kW)が稼働している場合です。また、「連系線あり」では、運用容量259万kW(ケースA)と熱容量556万kW(ケースB)のそれぞれで計算しました。また、揚水発電(230万kW)は、原発稼働が少ないなかで、いずれも全容量を太陽光・風力の電力貯蔵に使う前提です。

 その結果、いまのまま原発が稼働しなければ、連系線を使わなくても、再エネの出力抑制の日数は25日(88時間)となり、現状の「30日ルール」を使えば、対応できることが分かりました。加えて、連系線を活用できればケースAでも出力抑制日は1日(1時間)で済むという結果でした。