インセンティブばどうすべきか

 最後に、3人の登壇者によるパネルディスカッションが実施された。司会者が質問形式であらためてニーズ発掘について聞いた。

パネルディスカッションの様子
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 根来氏は、「過去の経験に照らしあわせて誤解を恐れずに言えば、やはり有力な大学病院などの先生から当たって行くほうがいい。各大学との産学連携や、そこからの紹介でネットワークは広がっていく」と語った。

 伊藤氏は、「“ニーズの発掘”と構えてしまうと、発表会のスライドで使うようなピンポイントにフォーカスしたものしか出してこない。実はもっと作りやすくて、簡単にできるアイディアが裏側に豊富にある。発表の場というのはイベントとして必要だが、企業とマッチングさせる前に、コーディネーターとしては細かいアイディアを聞き取りに行くようにしている」と打ち明けた。

 加藤氏は、「支援する医療機関と密に連絡を取って、インタフェースをきちんと反映する仕組みが大事になる」と述べた。

 その後、会場からの質問も受け付けたところ、ニーズの提案者に対するインセンティブについての質問が飛びだし、3人の登壇者はそれぞれ次のように語った。

 「医療現場にとって困る要望を出しているわけなので、個人的にはニーズの提案者に対するインセンティブは必要ないと感じている」(伊藤氏)。

 「現場に立つ人間としては(伊藤氏と)意見は異なる。日常が忙しく、それどころではないという思いがあるため、ニーズ提案者に対するインセンティブは必要だと考える」(加藤氏)。

 「正直、まだ答えが出ていない。謝礼が最適なのだろう。大学の場合は取り組みに対する表彰といった正当な評価も対価になることがあり得る」(根来氏)。