2014年11月12~14日に東京ビッグサイトで開催された「HOSPEX Japan 2014」では、「医工連携ワークショップ/第6回全国医工連携支援機関ネットワーク会議」と題したセミナーが実施され、「ニーズの掘り起こし~医療現場の真の課題・ニーズを発掘し、医療機器に繋げる~」というテーマで3人のスピーカーが講演した。

協力医師の提案はむやみに却下できない…

 最初に登壇したのは、大阪商工会議所 経済産業部 ライフサイエンス振興担当の根来宜克氏。同団体では2003年という早い段階から「次世代医療システム産業化フォーラム」と名付けた定例会を開催、地域発信の医工連携事業の草分け的な存在として知られる。

大阪商工会議所の根来氏
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 次世代医療システム産業化フォーラムの参加企業は現在180社を数え、ほぼ毎月1回のペースで開催している。これは全国最大規模の医工連携事業であり、座長は大阪大学、京都大学、東北大学、九州大学、国立循環器病研究センターなど、全国各大学・研究施設の先生が務める。毎回150~200人が参加し、医療現場からのニーズ発表を始め、開発提案報告、企業との交流などを行なっている。

 「10年前は医療現場とのマッチングがうまくいかずに、試作品の山ができてしまい、事業に結びつかなかった。本来であれば、企業とコンサルティングとが密に結びつくことが大切だが、その支援がまだ十分ではなかった」(根来氏)。しかし、ニーズ発掘から研究開発、事業化に至るまでの支援を地道に行なってきた結果、相談件数は着実に増えていると話す。

 一方で、どういう立ち位置で参入したらよいか不明なまま相談に訪れるケースも多い。こうした企業の立ち位置について、根来氏は「医療現場に足を運んだからといって、すぐにニーズは発掘できない。重要なのは医師の力。やはり医師と企業の二人三脚でニーズを掘り起こすのが好ましい」と語った。

 フォーラムの活動を続けてきた中で、課題も見えてきたという。「ニーズのスクリーニングは、市場性、技術的に可能か、薬事の側面などを勘案して総合的に判断する。だが、協力してくれた医療従事者の提案はむやみに却下できない。また、医療従事者にとってニーズの提案は通常業務に加えて負荷がかかるものなので、何らかの協力報酬(インセンティブ)も必要になってくるだろう」と、間をつなぐ立場としての難しさを率直に話した。