装置価格を下げ、術者育成でも手を打つ

 メーカー側での改善余地がある課題としては、価格を挙げた。日本で2012年10月に薬事承認を取得した「da Vinci Si」モデルの従来価格は、操作部(コンソール)を1つだけ備えるシングルコンソール構成で3億3000万円。これにサービス価格720万円が上乗せされる。多くの医療機関にとっては「気軽に使えるものではなく、(中長期での)臨床的メリットや経済的メリットが十分に認知されていない」(上條氏)のが実情である。

 この状況にテコ入れすべく、2014年10月には大幅な値下げに踏み切った。シングルコンソール構成のda Vinci Siの価格を2億4800万円と、従来比25%引き下げたのだ。これにより、米国における販売価格との差は35%にまで縮まった。ロボットアームの先端に取り付けて使う手術器具(鉗子)の価格も従来比17~39%下げた。鉗子は消耗品で、10回前後使った後に交換するのが一般的だ。これらの値下げは、2014年6月末にda Vinciの販売権を販売代理店から自社へ移管したことで実現できたという。

 今後、da Vinciの日本における普及の加速に向けて「スピード感を持って次の展開を進める」(上條氏)。具体的には「da Vinciが有効なさまざまな領域へ適用を広げたい。具体的にはまず、直腸と肺、子宮だ。これらについては(保険適用の前段階となる)先進医療の審査、または審査に向けた申請準備を進めている」とした。特に、直腸での取り組みが先行しているという。加えて、da Vinciの使用資格を持つ医師の育成に向けて「2015年5月に、米国外では最大となるトレーニングセンターを(東京都江東区)辰巳に設ける」(同氏)。