会見する天野氏
会見する天野氏
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 ノーベル物理学賞を受賞した天野浩氏は2014年10月24日、文化勲章が同氏に贈られたことを受けて、所属する名古屋大学で報道機関向けの会見を開催した。その中で、記者からの質問に受ける形で、同氏が現在力を入れて取り組んでいる研究について紹介した。

 中でも重要性をアピールしたのが、パワーデバイス(パワー素子)応用である。GaNは、Siに比べてバンドギャップが広い、熱伝導率が高いなど、パワーデバイスに向く特性を備え、省エネ効果を期待できるからだ。

 「窒化物半導体は、LEDだけではない。特に注目しているのが、パワーデバイス。LEDも省エネに貢献したが、パワーデバイスも省エネに大きく寄与する。例えばパワートランジスタ。Siでも95%という高い電力変換効率を実現しているが、まだ5%の損失がある。GaNであれば、理論的には、この損失を1/6以下にできる。LEDを超える省エネ効果も期待できる。我々も、超低消費電力のパワーデバイスの開発に取り組んでいる。パワーデバイスに関しては、これからが正念場。GaNパワーデバイスの分野では、現在日本が先行していると思っているので、この分野で世界をリードしていきたい」(天野氏)と意気込みを語った。