医師側からは「『タバコは吸いません』と答える患者の口からタバコのニオイがした」といった体験談が語られ、患者側からは「自慢できる(健康的な)生活をしていないので、後ろめたさからついウソを言ってしまう」という声が聞かれた。一方で「昔からのかかりつけ医がいるので、何事も素直に相談できる」という人もいた。

 こうした状況に対して、宮川医師は、患者と一緒に家族も病院を訪ねる“同行受診”を提案する。「生活習慣病については、患者本人だけでなく、家族も一緒に説明を受けたほうが生活改善が進みやすい。家族が見ている前では、生活習慣について患者もウソを言いづらいという効果もある。生活態度が悪いことを医師に知られると『怒られる』と言う人もいるが、私たちは怒っているのではなく、心配している。それを分かってもらいたい」(同氏)。

血圧管理の重要性を議論

オムロン ヘルスケア 医学博士の白崎修氏
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 オムロン ヘルスケアの白崎氏は、分析・通信サービスと連動する血圧計(関連記事)などの利用を勧めた。「高血圧の治療では、日常生活と異なる環境で計測する診察室血圧よりも、家庭血圧を把握することが重要だ。しかし、患者が手書き(手入力)した血圧値が次の診察までに1カ月分ほどたまってくると、医師がそれを見て即座に有効活用するのは難しい。また、その様子を見て、患者も『せっかく測ったのに』とガッカリする。測定値が自動的にサーバーに送信されて分析され、整理された情報が医師のパソコンに表示されれば、データは有効活用でき、患者も計測のしがいがあるのでは。数字の信頼度も手書きより増すため、医師もデータに基づいた治療方針を立てやすいはずだ」(同氏)。

 会場の一般市民(患者側)へのアンケートでは、普段、健康管理に取り組めていない人が約7割という実態が明らかになった。白崎氏は「30歳代から40歳代で血圧が高かった人は、認知症になるリスクが高い。若い人は健康づくりを今すぐ必要なことだと思えないかもしれないが、何十年も先のことと思わずに、ぜひ血圧管理、健康管理をしてほしい」と訴えた。

 宮川医師も「血圧は上がってしまったら、下げるのが大変。『70歳になっても山登りをしていたい』など、自分の将来の“健康設計図”を描いて取り組んで」と話した。