太陽光発電協会(JPEA)の鈴木伸一事務局長(出所:日経BP)

5電力会社(九州、四国、東北、北海道、沖縄)が、再生可能エネルギーの接続申し込みへの回答を保留すると公表した。経産省はこれを受け、固定価格買取制度(FIT)の見直しを検討してきた新エネルギー小委員会の下に、系統ワーキンググループ(WG)を設置し、接続可能量の検証に着手した。同WGのオブザーバーでもある太陽光発電協会(JPEA)の鈴木伸一事務局長に、「接続保留」問題の背景と今後について聞いた。

――再生可能エネルギーの接続申し込みへの回答を保留するという電力会社の措置が、再エネ事業者間で混乱を引き起こしています。太陽光発電を建設している事業者はもとより、すでに設備が稼働して売電している事業者も含め、将来への不安が広がっています。

鈴木 「接続保留」問題では、太陽光発電協会(JPEA)にも問い合わせが相次いでいます。再エネに関係する業界に影響が大きかったのは、唐突に「保留」という措置が発表されたことが発端です。ただ、ここまで混乱が広がり、事業者に不安感が高まった要因のかなりの部分は、不正確な報道内容にもあると思います。

 今回の措置は、系統接続の申し込みへの回答を数カ月間、「保留」することですが、新聞などの見出しや解説には、接続の「停止」や「中断」「凍結」などの文字が躍っています。中には「買取停止」という言い方までありました。

 JPEAにもテレビ局から、「再エネへの参入凍結についてどう思われますか」との質問がありました。「そういう事実はないはず」と応えましたが、「テレビ局の記者は、新聞にそういう報道がありましたが…」ということでした。このテレビ局は、経産省への取材でも「事実無根」と一蹴され、ニュースの企画方針を変えざるを得なくなったようです。

 「保留」という措置の影響はもちろん小さくありませんが、数カ月後には回答が再開することが前提です。接続申し込みへの回答が遅れていること自体は珍しくなく、「保留」発表前から、従来2~3カ月で回答があったものが、半年近くたっても回答がないケースが増えていました。こうした事務手続き上の「遅れ」の問題と、再エネ接続の「停止」や「中断」「凍結」とは別次元の問題です。まして、現在、稼働中の再エネ設備の電力買い取りに影響するものではまったくありません。いまの混乱は、福島第一原発事故の後に起きた風評被害に近い側面があります。