このシリーズでは、中部電気保安協会の本店 保安部 太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかについて紹介する。同チームがまとめたトラブル事例集を基に、同チームの寄稿によって構成している。

 太陽光発電所では、系統側で地絡故障(アースへのショート)が発生した場合、故障した場所の探査や、故障の除去作業にあたる作業員の感電を防止するために、昇圧連系設備に設置する地絡過電圧継電器(OVGR)でそれを検知し、パワーコンディショナー(PCS)を停止させ、太陽光発電所からの出力を停止させなくてはなりません。

 OVGRは、PCSの系統保護継電器とは別に設置されています。このため、OVGRの動作出力接点を、PCSの外部信号入力端子に接続する必要があります。

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)がスタートして、間もない頃に新設された設備には、OVGRとPCSとの配線施工不良などが、いくつか見受けられました。今回は、その代表的な三つの例を紹介します。

 一つ目に紹介するのは、OVGRの動作出力接点の接続間違いです。

 OVGRの動作出力接点には、a接点(動作時に閉じる接点)、b接点(動作時に開く接点)があります。PCS側の外部接点入力には、a接点固定のものとa、b接点を選択できるものもあります。

 外観点検時に、OVGRの動作出力接点を確認したところ、動作時に開くb接点に接続されていました。

 PCS側の外部信号入力端子に接続されており、異常なしと判断して連系したところ、PCSが故障して停止してしまいました。

 PCSの液晶ディスプレイには、OVGRの動作を表すエラーコードが表示されていました。しかし、昇圧連系設備内のOVGRは動作していませんでした。

 そこで、PCSの取扱説明書を確認したところ、動作時に閉じるa接点に接続しなければならない仕様になっていることがわかりました。

 つまり、OVGRの動作出力接点とマッチングしていなかったのです(図1)。

図1●動作時に閉じるa接点と、動作時に開くb接点を誤って接続
(出所:中部電気保安協会)
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 この事例では、施工業者に、OVGRの出力接点を、b接点からa接点へ変えてもらい、再連系したところ、異常は生じないようになりました。