スマートフォン事業の減速などによる業績不振が取り沙汰される韓国Samsung Electronics社。同社が今、次の柱に育てるべく取り組みを強化しているのが医療機器事業だ。2014年9月には、超音波診断装置などを手掛ける医療機器メーカーで子会社のSamsung Medison社との合併を検討しているとの発表もあった(関連記事1)。

 そのSamsung Medison社が手掛ける超音波診断装置の新製品発表会を、2014年10月11日にサムスン電子ジャパンが東京都内で開催。Samsungグループとして医療機器事業に懸ける“本気度”と、同事業を日本市場でも積極展開していく姿勢を示した。

病院連携と基幹技術との両面に強み

 発表会の冒頭、挨拶に立ったサムスン電子ジャパン 代表取締役のSangwon Bang氏は、医療機器事業に懸ける強い思いを言葉にした。Samsung社は2010年に、次の10年間に集中投資する分野の1つに医療機器を挙げた。従来、同社は「テレビや携帯電話機など、人々の利便性を高め生活を豊かにする製品に力を入れてきた。これからは人々の健康を守り、生活を守る製品に力を入れる。医療機器とバイオテクノロジーを融合した“Life Care”の領域を大きく育てたい」(同氏)。

サムスン電子ジャパンのBang氏
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 この取り組みにおける同社の強みの一つが、グループとして病院経営を手掛けてきたことにある。具体的には、傘下にサムスン病院や、医学部があるソンギュングァン大学を持つ。病院と連携した機器開発をしやすい環境にあるわけだ。

 さらに、強みにしようともくろむのが、テレビや携帯電話機などのコンシューマ機器や、その基幹部品である半導体やFPDなど、世界市場を制した製品で培ってきたノウハウだ。具体的には「イメージプロセッシング(画像処理)やユーザーインターフェース(UI)などの技術を生かす」(Bang氏)。