医事用アプリケーションもある。診断書管理システムはその1つ。診断書の依頼受け付けは医療ソーシャルワーカーが担当しているが、受け付けから担当医への発行依頼、受け取り・外来転送、患者渡しまでの進捗状況は、全てこの診断書管理システムで管理している。「担当医の作成が滞っていた場合の把握や対応も容易で、患者さんからの問い合わせに答える際にも重宝されている」(高畑氏)という。

診断書の受け付けから患者に渡すまでの進捗を管理する「診断書管理システム」
[画像のクリックで拡大表示]

 FileMakerアプリケーションは職員の福利厚生にも利用されている。JA広島総合病院は土地柄、広島カープファンの職員が多いため、「カープ観戦チケット抽選システム」というものがある。同病院は広島市民球場に4席の年間指定席を保有しており、毎試合2組の職員が観戦できる。同システムはその応募と抽選を受け付ける。システムにアクセスすると年間の試合スケジュールが表示され、各試合の応募数や当選確率をリアルタイムで見ることができる。当選すると同システムと院内ホームページで発表され、院内PHSで連絡が来るという。

職員の福利厚生にも利用されている「カープ観戦チケット抽選システム」
[画像のクリックで拡大表示]

全職員でさらなるユーザーメード医療ITを推進

 数々の業務支援システムをFileMakerで構築してきたJA広島総合病院だが、FileMakerに関する知識や開発ノウハウを持つ職員は限られている。そのため、「構築したシステムを改修・継承したり、ニーズに応じた新たなシステムの開発を病院全体で推進していくために、FileMakerの公式認定トレーナーによる講習会を開催する計画です」(ヒューマックス の高田光一郎氏)。

 ファイルメーカー講習会は、ベーシックユーザーコースとパワーユーザーコース(各前編・後編)を4回開催する予定だ。職員の参加を募ったところ、各回20人の定員がほぼ満員だという。「FileMakerを業務で活用していきたいという、職員の意欲をあらためて感じています。アプリケーションのフィールド作成やレイアウトまでできるようになってもらえればよいと考えています」(高田氏)と、今後も積極的な活用を目指す。

 また、今後は新しく導入したHOPE EGMAIN-GXとFileMakerシステムの連携を密にし、相互運用性の強化に取り組んでいくという。「FileMakerと富士通の電子カルテとの接続は様々な実例があり、よりデータ連携を強化した運用にしていきたい」(桑野氏)と今後の方針を語っていた。

■病院概要

名称:JA広島厚生連 廣島総合病院
所在地:広島県廿日市市地御前1-3-3
開設:1947年12月
病床数:561床(地域救命救急センター19床を含む)
職員数:864人(医師118人、看護職員549人、医療技術職員142人ほか)
Webサイト:http://www.hirobyo.jp/
導入システム:ファイルメーカー「FileMaker Server」「FileMaker Pro」

■変更履歴
記事初出時、「各回20人の定員がほぼ毎員だという」とあったのは「各回20人の定員がほぼ満員だという」でした。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。