災害時、負傷者を受け入れたときには、事前に準備してある災害用診察券を発行し、そこに記された災害用IDを基に傷病者管理を行う。トリアージポストで負傷者にトリアージタグを取り付けると同時にFileMakerの広域災害用システムに情報を入力。災害用ID、負傷者氏名・性別・年齢、トリアージ区分、傷病名、現在行っている医療行為、移動場所・搬送先などを登録する。これにより、災害対策本部や各トリアージエリアなどで負傷者の情報を共有できるので、全体状況を把握しながら効率的に医療救護活動を行える。

災害対策本部や各トリアージエリアなどで負傷者の情報を共有する「広域災害用システム」
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 この広域災害用システムには、トリアージエリアでの処置後、傷病者をICUや病棟に円滑に搬送できるように、受け入れベッドの空き状況を把握する機能が実装している。災害時運用開始とともに現在の空きベッド数を登録し、傷病者を受け入れると同時に災害患者IDを入力することで、空きベッド数と入院人数がリアルタイムに反映され、ベッド使用状況が瞬時に把握できるように工夫されている。負傷者に対して発行される災害用診察券やリストバンドにはバーコードも印刷されており、迅速で安全な負傷者受け入れを実現できる。

「広域災害用システム」では傷病者をICUや病棟に円滑に搬送できるように、受け入れベッドの空き状況を把握する機能を実装
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 FileMakerアプリケーションにはこのほか、健診システムと連携した「健管受診者システム」もある。健康診断受診者の予約・受付、検査、判定、面談・指導などは、総合健診システム(LANPEX、エム・オー・エム・テクノロジー)上で管理され、主として健診担当医が利用する。一方、FileMakerの健管受診者システムは、企業健診受診者を除いた特定健診受診者や人間ドック受診者を対象に、看護師や保健師が健康指導などに使う目的で作られていて、受診者全体の健診項目や問診情報の有無などを把握できるようになっている。

総合健診システムと連携する「健管受診者システム」の受診者リスト(検査項目別)画面
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「健管受診者システム」は看護師や保健師が健康指導などに利用する。
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