ユーラスエナジーホールディングスの
清水正己社長
(出所:日経BP)

世界で再生可能エネルギー発電事業を展開し、中でも、国内では数十MW規模の巨大なメガソーラー(大規模太陽光発電所)を相次いで建設しているのが、ユーラスエナジーホールディングスだ。同社の強みや今後の戦略などを、清水正己社長に聞いた。

――ユーラスエナジーは、日本の風力発電を主導してきた企業の中で、大規模に太陽光発電を展開している唯一の企業と言える。

清水 風力発電を大きく展開してきた企業は、大企業が多い中、ユーラスエナジーは、商社の事業部門がスピンアウトしたような形態で、小回りが利く特徴が生きている。

 太陽光発電に参入したのは、多角化の一環。多角化を模索したのは、風力発電だけでは、採算面で厳しい時期に差しかかる時期を迎えつつあったためである。

 多角化するとはいっても、新規参入する事業は、再生可能エネルギーによる発電事業以外に広げようとは考えていなかった。その中で、風力発電と技術的、事業モデルが似ているのが太陽光発電だった。

 太陽光発電は、建設地を決めたら、最短で2年間程度で、発電を開始できる、リードタイムの短さも魅力だった。風力発電では、この期間が長い場合、10年間を要する場合がある。

 参入することを決め、2008年に韓国で、当社初の太陽光発電所となる出力994kWを建設した。参入当時は、日本よりも海外での建設を中心に考えていた。建設当時、北米で最大だった出力45MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設した。

 その後、固定価格買取制度(FIT)の施行を機に、日本でもメガソーラーの建設を開始することを決め、国内で7カ所のプロジェクトを進めている。このうち、大阪府岬町の出力10MWと北海道白糠町の同30MW(メガソーラー探訪の関連記事1)の2カ所は、すでに営業運転を開始しており、残り5カ所が建設中となっている。建設中のうち、青森県六ケ所村の出力115MWは、現時点で建設中のメガソーラーとして、国内最大となっている(同関連記事2)。

 国内の太陽光発電市場に参入する際、開始後数年間が勝負どころになると予想し、親会社の豊田通商から4人、出向者を追加してもらい、建設プロジェクトを一気に拡大することを狙った。

 ユーラスの国内のメガソーラーは、建設中を含む7カ所すべて、売電価格40円(税抜き)で設備認定を受けている。その合計出力は約232MWある。

 これらの計画を迅速に進めることができた理由は、経営判断を含めてスピーディに動けたことはもちろん、国内で風力発電に注力してきた経験が生きている。例えば、地方自治体や地域とのつながりが、メガソーラーに向く建設地を探す際に生きた。風力発電所の開発に関わる担当者が、土地探しに慣れており、その知見が生きた。