経済産業省は2014年9月24日、地域におけるヘルスケア産業の創出をテーマとした「地域ヘルスケアビジネス推進フォーラム」を東京都内で開催した。経済産業省 大臣官房審議官(商務情報政策局・クリエイティブ産業担当)の石川正樹氏が挨拶に立ったほか、同省のヘルスケア分野の担当者や、厚生労働省の担当者などが登壇。要介護の高齢者も住み慣れた地域で生活し続けられるような環境を多職種間連携によって整える、「地域包括ケア」への取り組みと展望を語った。

経済産業省 審議官の石川氏
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 石川氏はまず、医療費の高騰が国家財政の大きな負担となっていることに触れ、「医療サービスの質を落とすことなく、コストをどうコントロールするかが重要な課題になる」とした。その上で、地域の医療機関と民間企業、ベンチャー、NPO法人などが連携してヘルスケア産業を育てることがその解になるとの見方を示した。同省が地域のヘルスケア産業に期待する点は大きく3つあるという。(1)健康寿命の延伸、(2)地域医療費のリーズナブルな形での抑制、(3)地方における新産業と雇用の創出である。

“医農商工連携”を目指す

 同氏は、2013年6月に政府が打ち出した「日本再興戦略」とその改訂版において、公的保険に基づくサービスと、それを補完する保険対象外のサービスを一体化させてヘルスケア産業を育てる方針が示されたことを紹介。地域におけるヘルスケア産業創出が「実行段階に入ってきた」と述べた。

 ヘルスケア産業を狭い意味では捉えたくない――。石川氏が強調したのはこの点だ。「外からその地域に人を呼び込む観光産業、その地域ならではの農産物を生かした農業や食。これらにどうつなげていくかを考えたい」。構想の1つとして挙げたのが、ヘルスケアと地域観光を組み合わせた“ヘルスツーリズム”である。「“農商工連携”は古くから言われてきたが、我々はここに“医”を加えたい。“医農商工連携”が目指すべき姿。その具体的な成功事例を作っていく」。