発電量を下げる渡り鳥のフン

 二つ目は、鳥のフンによって、出力が一定以下に下がる太陽光パネルが、冬になって急に増えたことだった。

 斉藤倉庫では、14枚のパネルを直列に接続した「ストリング」単位の出力が、他のストリングの出力に比べて1割以上下がった場合、エラーを通知する設定にしている。

 このエラーが冬になって増えたため、太陽光パネルに異常が生じていないか調べたところ、カバーガラス上の広い範囲に、鳥のフンが残っているパネルが多くなっていた。

 鳥のフンは、雨によってある程度、洗い流されることが知られているが、冬は乾燥する日が多く、雨も少ないために、残りやすくなっていた。

 しかも、甲府倉庫は川や木々に近い場所にあり、アオサギなどの水鳥や渡り鳥が、頻繁に太陽光パネルに止まりに来ていた(図6)。発熱しているパネルの上で暖を得ている様子だった。そのフンは、ハトカラスなどに比べて、広い範囲を覆う(図7)。

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図6●太陽光パネルの上に止まる水鳥
取材中にも、このようにパネルの上に飛んできた(出所:日経BP)
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図7●広い範囲を覆う鳥のフン
隣の川からザリガニやカニ、魚などを採ってきて食べるため、パネルの上には甲殻系の残骸も多い(出所:日経BP)

 鳥のフンが多く残っている場所は、古い棟の北側に限られていた。そこで、その場所に、防鳥用の網を置いて、追い払う効果に期待した(図8)。

 すると、網を置いた場所を避けて、別のパネルの上に止まるようになった。網の効果には限界があった。

図8●防鳥用の網を張って追い払う効果に期待
(出所:斉藤倉庫)
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 こうした状況は今も続いている。「鳥のフンの影響によって、例えば売電額が減ってしまったとしても、その対策に要する費用の方が高くなってしまうことが多く、対応に悩んでいる」と、齊藤直也常務・太陽光発電部長は言う。