接続箱内が70℃以上になり、警告が連日届く
発電開始後、1年間の発電量は、予想に比べて約1割も上回った。数値だけみると順調に見えるが、大きなものだけで三つものトラブルを乗り越えながら達成した成果だった。このため、2年目以降は、さらに上回る可能性がある。
トラブルの一つ目は、夏の高温だった。甲府はしばしば国内の最高気温を記録する土地柄。まさに甲府にある倉庫ならではのトラブルとも言える。
接続箱内の温度が高くなりすぎて、安全装置が働いてしまい、頻繁に警告が通知されたのである。「2013年7月~8月は、ほぼ毎日のように警告が表示された」(齊藤定之専務)。
接続箱は、内部の温度が70℃以上になると、高温による傷害を防ぐための安全装置が働いて、警告を通知する設定になっている。
安全装置が働いた接続箱は、新しい棟に設置したものだった。二つの棟ともに、接続箱は屋根の上ではなく、敷地の内側の側壁にある、ひさしの上に設置している(図4)。
新しい棟のひさしは、西側を向いているため、正午以降、西日が当たり続ける。ひさしの上は、屋根の上のように風が通り抜けず、空気が滞留しがちだ。
夏の日中の高温に加え、直射日光が当たり続けるために、接続箱内の温度が70℃以上に上がり、警告の通知が頻発した。
古い棟のひさしは、東側を向いており、気温が高くなる時間帯には日陰になるために、このトラブルは生じなかった。
斉藤倉庫では、この対策として、新しい棟の接続箱の筐体の外に、遮熱用のカバーを追加した(図5)。カバーには、通気口を確保し、熱い空気が溜まりにくい構造にした。この工夫によって、2014年夏には、同じトラブルは起きなくなった。
カバーのほかに、倉庫で効果を確認済みの「遮熱塗装」を、接続箱の筐体に施すことも検討した。しかし、保証などに影響することがわかり、断念した。