予定していなかった塗装を追加

 補強と塗装を施したのは、二つの棟のうち、約20年前に建てた古い棟「ふじざくら棟」のみとした。古い棟の上から見た屋根の形は、一般的な長方形ではなく、長方形の南側から東側に直角に曲がり、直角定規のような形をしている。

 この直角に曲がる部分などが、太陽光パネルを載せた際に、最も耐荷重性が不足する部分だった(図3)。

図3●直角に曲がる部分を中心に補強
(出所:日経BP)
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 もう一方の、約10年前に建てた新しい棟「いちい棟」は、補強も塗装も必要なかった。塗装する必要がなかったのは、屋根の材料に、ガルバリウム鋼板と呼ばれる、腐食やサビなどに強いアルミ亜鉛合金めっき鋼板を採用しており、元々、サビ止めなどが不要なためである。

 当初、予定していなかった塗装作業が加わったことから、発電システムの施工の手順を変えながら進めた。例えば、古い棟の屋根への設置は、屋根の塗装が終わるまで待つことになった。

 しかし、その間にも、太陽光パネルはどんどん納入されてくる。太陽光パネルの置き場に困った末、貸出先の企業に頼んで、借り賃を払って甲府倉庫に置かせてもらい、スペースを確保したという。

 こうした苦労を重ねながら、2013年5月に太陽光パネルの設置を完了し、同6月に発電を開始した。終わってみれば、当初の予定通りの日程だった。