ミドルクラスの機器が台頭

 赤外線は赤色よりも波長が長く、人間の目では見ることができない光だ。波長によって、「近赤外線」「中赤外線」「遠赤外線」の3種類に大別される(図2)。サーモグラフィーやナイトビジョンに使う赤外線カメラは遠赤外線を検知する。中赤外線は、特定波長を吸収する特性を使用して非接触で化学物質を特定するのに使える(図3)注1)。インターフォンや監視カメラで撮像するために当てる光は近赤外線だ。

図2 波長によって大きく3種類ある
赤外線の波長による一般的な定義。検知は、光を当てる「アクティブ型」と対象物の赤外線放射を使う「パッシブ型」がある。
[画像のクリックで拡大表示]
図3 拡大する赤外線センサーの用途
赤外線センサーの用途の例。黒字は従来の用途、赤字はミドルクラス品の登場によって最近使われ始めた用途、黄色字は今後の実用化が見込まれている用途。
[画像のクリックで拡大表示]
注1)例えば二酸化炭素は2.5μ~3μmや4μ~5μm、アルコールは3μ~4μmなどの波長帯域に強い吸収帯を持つ。

 こうした赤外線を検知するカメラ/センサーシステムの市場は、航空宇宙や軍事用途などに使用する「ハイエンド品」と、自動ドアの開閉や照明の自動点灯などに使用する「ローエンド品」に二分していた。前者は640×480素子以上の高性能な多アレーセンサー、後者は簡易的な人体検知などができる単素子センサーを使う。

 これに対して、第2幕の主役となる車載向けナイトビジョンや安心・安全分野のカメラ/センサーシステムは、ハイエンドとローエンドのどちらにも属さない。価格帯で両者の間に入るミドルクラス品と言える。