汎用性の高い仕組み、プラットフォームを採用

 大規模災害における多数の傷病者情報の管理は、トリアージタグの情報を基に各部門で情報を収集し、それを災害対策本部が集約・整理することがほとんど。混乱する現場での人海戦術による情報集約・整理は困難で、特に保留群(軽症群)の傷病者はどれぐらいだったか集計されなかったり、トリアージタグそのものが回収できないケースもあったりする。過去の大規模災害でも、傷病者情報管理の困難性、迅速な管理性が課題だった。そのためトリアージ情報管理のシステム化はいろいろ試みられているが、専用システムを構築するために大きな投資が必要だったり、タグ自体を電子化したシステムは汎用性が乏しかったりという課題もあった。

記載されたトリアージタグを撮影して取り込む
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 昭和大学病院の「災害トリアージ情報共有システム」の大きな特徴は、従来の災害トリアージにおけるワークフローを基本的に変えることなく、紙タグの良さを活かしつつ、リアルタイムに情報を電子化し、集約・整理できる点だ。トリアージ現場では最低限の入力と既存トリアージタグのカメラ撮影という作業で極力省力化して、正確な情報の入力作業をバックヤードの事務部門に任せたとところが、短時間で多数の傷病者情報の管理を可能にした。

災害対策本部裏の部屋で情報担当者が、タグの撮影画像を見ながら正確に各情報を入力する
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