その後、トリアージエリア出口で入力担当者が、iPad miniにトリアージ情報初期入力(傷病者の年齢層、性別、トリアージ区分)を行う。同時に、iPad mini内蔵カメラでトリアージタグの表裏と傷病者の顔を撮影して取り込む。また、トリアージ初期情報入力作業により、システムから傷病者ごとに災害IDが発番されるので、それをトリアージタグに記入する。今回の訓練では6台のiPad miniをトリアージポストなどで使用したが、配布台数に限りがあったため、黄(中等症群)および赤(重症群)の傷病者に対してトリアージ情報入力を行った。

搬入時初期登録では、トリアージタグの表裏、傷病者の顔写真を撮影して取り込む
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 混乱が予想されるトリアージ現場では、いかに短時間で簡便に傷病者の登録作業をできるかが求められる。「iPad miniのユーザーインタフェースは、誰もが初めてでも操作できるよう分かりやすくした。極力入力する情報を抑えながらトリアージ情報を記録するため、タグを写真撮影する方式を採った」(昭和大学医学部救急医学講座助教 山下智幸氏)。

災害トリアージ情報共有システムのiPad miniアプリのトップ画面
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 トリアージ現場で入力された初期情報と写真データは、災害対策本部に設けられた部屋で待機する情報担当者がタグの撮影画像を見ながら、ノートパソコンで傷病者の氏名や年齢、主傷病名(ICD-10に基づく疾患名入力支援機能を利用)などを初期患者登録画面の各フィールドに正確に入力していく。データベースに登録された傷病者データは、災害対策本部に設置したプロジェクターで一覧表示されるほか、特定の傷病者やトリアージ区分エリア収容者などで検索・表示ができる。

 また、こうした情報は各エリアで運用されているiPad miniでも閲覧でき、トリアージ後に判定が変わるなどの追加・修正情報をはじめ、病棟や検査など院内での移動先、後方搬送先、転帰などの情報をボタンで選択入力できるようにしている。

 今回の訓練・検証で運用したシステムでは、新たに手術室待機情報とICU待機情報を追加した。手術およびICUでの治療が必要な傷病者をiPad mini上のメニューから各待機リストに移動することができ、各部門での対応をスムーズに行えるようにした。