――日当たりが良い場所にある太陽光発電所は、カラス好みの場所といえそうだ。

杉田 日当たりが良いことに加えて、近くに大きな河川や、畜舎があるなど、カラスが好む条件が揃った場所に、太陽光パネルを設置すると、石を落される被害に遭う確率が高くなるのかもしれない。

宇都宮大学 農学部の杉田昭栄教授
(出所:日経BP)

 参考までに紹介すると、カラスの遊びで深刻なものに、鉄道の線路への置き石がある。線路沿いの石を、レールの上に乗せる。意図はわからず、並べることに興味があるだけのようだが、鉄道会社にとっては、安全性に関わる問題となっている。

 カラスの遊びは、このほかにも、冬に池の表面が凍れば、上空から石を落して割ったり、滑り台や雪の表面を滑ってみたり、フリスビーを咥えて、高いところから飛ばしたり、とにかく多様である。

 「羽の生えたホモ・サピエンス」と言われるくらいで、道具を使うこともある。昔からいろいろな遊びをしてきたことが知られていて、古典文学にもそうした例が登場する。

 環境を選ばないたくましさも特徴で、人間の近くで生活する鳥の中では、例えば、ツバメなどは、適した場所に、決まった材料でしか巣を作らないが、カラスはどこでも、さまざまな材料を使って巣を作る。

 木の枝がなければ、金属製のハンガーを使って巣を作る例もある。食に関しても、雑食で適応力が高い。