香川県によるベンチャー企業の支援施設「ネクスト香川」(高松市)。香川大学工学部のキャンパスからほど近いこの建物の一室に、同大発のベンチャー、未来機械(岡山県倉敷市)の研究開発拠点がある。同社は、太陽光パネルの清掃ロボットを開発しており、2015年度中には量産化する予定だ。三宅徹社長は、香川大学工学部知能機械システム工学科でロボット工学を学び、同大大学院在籍中に未来機械を立ち上げた。

 香川大学工学部のキャンパスで、同社の開発した清掃ロボットがデモンストレーション走行する様子を見学した。CIS化合物型太陽光パネル(縦3枚、横2列)を設置角15度に傾けて設置したデモ用のアレイ(複数パネル群)を清掃した。パネル表面には、事前に砂埃を吹き掛けておいた。国内に設置した太陽光パネルでは、ここまで砂埃が降り積ることはほとんどないが、同社の清掃ロボットは海外の乾燥地域に設置したメガソーラー(大規模太陽光発電所)を想定している。

 横72cm・縦43cm、オレンジ色の筐体で覆われた清掃ロボットの重さは約11kg。男性なら容易に持ち上げられる(図1)。筐体上に付いた取っ手を両手で掴み、アレイの右下の隅に置く。スイッチを入れると、前後に取り付けてある回転ブラシが回り出し、自律走行でパネルの坂を上ってゆく。動力源は内蔵したLiイオン電池で、コードはない。ロボットはパネルの枠から外れることなく、まっすぐに進む。薄汚れたパネルは、走行後には、CISパネル特有の光沢のある黒色に変わっていく。砂塵などの汚れが取り除かれたことが一目瞭然だ(図2)。

図1●重さは約11kgなので、男性が容易に両手で持ち上げられる(出所:日経BP)
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図2●掃除ロボットが通過した後、パネル上の砂埃が光沢に変わる(出所:日経BP)
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