「学習するコンピュータ」の台頭により、人間の仕事が奪われるケースは間違いなく増える。
我々はこうした変化を危機でなく好機に変えられるか。
五つの「未来図」を基に探る。

未来1
社会はますます安全に

写真2●DARPAの人型ロボット「Atlas」
災害地で人の代わりに活動
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 まず期待できるのは、自動走行車を含むロボット技術の進歩だ。例えば自動走行車は、レーザー光を使ったセンサー「LIDAR」などから集めた情報を基にパターン認識を行い、周囲の歩行者や車両の状況をリアルタイムに把握する。パターン認識技術の高度化によって、自動走行車の安全性はますます高まる。

 機械学習やAI(人工知能)の動向に詳しいKDDI総研の小林雅一リサーチフェローは、「米国防総省高等研究計画局(DARPA)が開発を進めているロボットに注目している」と語る(写真2)。

 DARPAは、福島第一原子力発電所のような過酷な災害現場で人間の代わりに自律的に行動できるロボットを開発中だ。ハードウエア部分の「Atlas」は既にひな形が出来上がっており、残るはソフトだ。DARPAはAtlasの制御ソフトをコンテスト形式で世界中から募集している。

 コンテストでは、凹凸があるエリアの移動やハシゴの昇降、障害物の除去、ドアの開閉、ドリルを使った壁の破壊、バルブの開け閉め、ホースの操作などの審査を行う。第1回の審査は2013年12月20~21日に行った。

 DARPAは2004年から2007年にかけて自動走行技術に関するコンテストを実施し、大きな成果を上げている。今回のコンテストへの期待も高い。