釧路空港から南へクルマで10分弱。道東の太平洋沿いを走るJR北海道・根室本線の庶路駅と大楽毛駅のほぼ中間に位置する広大な敷地に、ユーラスエナジーホールディングス(東京都港区)が建設したメガソーラー(大規模太陽光発電所)、「ユーラス白糠ソーラーパーク」は広がっている(図1)。

図1●ユーラス白糠ソーラーパーク(出所:ユーラスエナジー)
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 この辺りの地名には独特の響きがある。空港から現地に向かうタクシーの運転手さんに「ショロとダイラクモウの間にある・・・」と行き先を告げようとしたら、「大楽毛(おたのしけ)かね」と聞き返してきた。もともとはアイヌ語の「オタ(砂浜)・ノシケ(中央部)」が語源という。

図2●発電所の南側に広がる恋問海岸(撮影:日経BP)
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 メガソーラーが立地する白糠(しらぬか)町も、アイヌ語の「シラリ(磯)・カ(上)」に由来する。「波が磯を越え、しぶきが立つ」様子を表しているという。発電所から鉄道をまたいだ南側には恋問(コイトイ)海岸が広がっている(図2)。

 ユーラス白糠ソーラーパークは出力が30MWと稼働中のメガソーラーとしては北海道で最大、日本全国で5番目の規模になる(2014年8月時点)。総発電量は一般家庭の約9600世帯分に相当する。62haの敷地に13万4400枚の太陽光パネルを敷き詰めた様は壮観だ。

 ユーラスエナジーがこの地で太陽光発電所の建設を計画し始めたのは2011年。その翌年に導入されることになる固定価格買取制度(FIT)の実施を見越してのことである。

 「道東は全国でも年間の日照が豊富で、とりわけ夏季も冷涼な白糠の気候は太陽光発電の適地です」。6月20日に催した竣工式でユーラスエナジーの清水正己社長は、棚野孝夫・白糠町長ら地元関係者を前に同町でメガソーラー事業を行う意義を強調した(図3)。

図3●清水正己・ユーラスエナジーホールディングス社長(撮影:日経BP)
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