自己資金2割、プロファイ8割

 ユーラスエナジーは2001年に、総合商社トーメン(現・豊田通商)のクリーンエネルギー事業を分社する形で設立された。2002年には東京電力が資本参加し、現在は豊田通商が60%、東京電力が40%出資する。FITが始まる以前の国内の事業はもっぱら風力発電所の建設だった。電気事業者に一定以上の再生可能エネルギーの利用を義務付けるRPS法(新エネルギー利用特別措置法)が2002年に成立したのをきっかけに風力建設を展開してきた。同社が北海道や青森県をはじめ全国に建設した、現在稼働中の風力発電所は23カ所、合計の出力は556MWに達する。国内では最大の風力発電事業者である。

 ユーラスエナジーが初めて太陽光発電を手掛けたのは2008年。日本に先駆けてFITを導入していた韓国の全羅北道に建設した997kWの発電所だった。このとき実感したのは、「太陽光発電は風力発電に比べてリスクが小さい」ということだ。風力発電の発電量推計には最低1年は現地の風況調査が必要だが、太陽光発電は気象庁などが公表している地域ごとの日照時間や日照量、気温に関するデータから推計できる。風力発電に必要な環境影響評価(アセスメント)も太陽光では不要だ。大規模な風力発電所は風況調査や環境アセスに5~7年、建設に2年かかる。太陽光発電は建設のネックになるような要素は風力に比べて少ない。加えて、これまで風力発電で培った用地確保や系統接続などに関する事業ノウハウや資金回収などのビジネスモデルを比較的容易に適用できる。

 出力30MWの白糠のメガソーラーは総事業費が100億円。ユーラスエナジーは特定目的会社(SPC)を設立し、総事業費の2割に相当する約20億円を出資し、残り8割の資金はプロジェクトファイナンスで調達する。自己資金を2割にとどめ、SPCを設立して8割をノンリコース(非遡及融資)のプロジェクトファイナンスで賄うことで事業リスクを抑える流れは、同社の風力発電事業のビジネスモデルと基本的には同じだ。

 メガソーラーの建設全体を監理するEPC(設計・調達・施工)事業者は四国電力系の電設会社、四電エンジニアリングに委託した。同社は風力発電所やメガソーラーの建設に積極的な電設会社で、風力発電所の建設を通してユーラスエナジーとの縁も深い。これまでの信頼関係を北海道での大規模なメガソーラー建設に生かした。

 太陽光パネルは京セラ製、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。